“About me” 【第1話】間取りオタク 爆誕

子どもの頃
時間を忘れて
夢中になったことは
ありますか?

私にとってそれは“間取り”でした。



小さな四角い図形の集まりから、暮らしを想像してワクワクする。そんな「間取りオタク」としての私の物語が始まったのは、小学一年生の時のことでした。

謎の四角い図形との出会い

小学一年生の時、ハウスメーカーの営業が冊子を数冊置いていきました。興味がわいて開いてみると、そこには沢山の四角い図形が描かれていました。

太い線と細い線があり交差しています。それが何を表しているのか分からず、ただひたすらにその図形を眺めること数か月、ある時はっとひらめいたのです。

これは「お家」だ!と。

この縞々線が階段で、それを起点に二つの図形を重ねると1階と2階になる、そう気付いたその時、私の間取りオタク人生が幕を開けたのです。

折込チラシは宝の山

それからというもの、気が向くとその冊子を引っ張り出しては眺めました。

新聞の折り込み広告の存在に気付いてからは『これはお宝!』とばかりに間取りの載っている広告の収集を始め、そのうち好きな間取りといまいちな間取りを分類し、やがていまいちな間取りの変更案を考える、と私のオタクっぷりは進化を遂げます。

中学生 間取りをスキャンする

中学生になると、友達の家へ遊びに行く度に慎重に部屋の中を見渡して間取りを頭の中でスキャンし、深夜に自室で手描き図面化するようになりました。

そして書き上げた間取りを凝視しては、『なるほどなるほど。あの広さ感覚はこの寸法なのか。広さの割にちょっと狭く感じたな…』と独りごちるおかしな女子へと変貌しました。

そしてちょうどこの頃から、住環境と心の関係を観察するようになります。

家が心を左右することを知った日

そして皮肉にも、住まいは良くも悪くも、心に少なからず影響する、ということを私は身をもって経験することになります。中学生になってから祖父母と同居を始めた自分たち家族がまさにそうだったからです。

母は毎日祖父母と喧嘩をしては怒ったり泣いたりするようになりました。今考えてみると、同居の仕組み(家の間取り)から起こる生活の摩擦が喧嘩の原因のひとつであったと思います。そして追い打ちをかけたのが住環境の悪さです。突如ひどくなった隣家の汲み取り便所の強烈な臭い。そのせいで、リビングの窓が開けられなくなりました。それは元々、陽の当たらない暗い部屋。その時の母には家が牢獄のように感じたに違いありません。

母は数年後、ノイローゼになりました。

親の精神状態は当然、こどもに影響を及ぼします。例にもれず、祖父母と母だけでなく、我が家では家族全員が何年も何年も険悪な関係でした。結果的に祖父母と両親と私は、家が原因で一時絶縁します。

家とは 家づくりとは何か を考える

振り返ってみると、両親も祖父母も、家と暮らしの関係、そして自分自身のことが、よく分かっていなかったのだと思います。

けれど案外、人は自分のことは分からないものです。(片付けが上手くいかない理由もそのひとつでしょう)

我が家の環境はちょっと個性的でしたが、このような経験から私は自然と『家づくりは自分と向き合うことから始まる』と考えるようになりました。

「住まいは心に影響を与える」ということを痛感してから、図面では分からない「何か」を、今もずっと探しています。

次回は、そんな私が進路を選び、社会に出ていったお話をします。

▶“About me”【第2話】はこちら

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